差し歯やクラウンといえばセラミッククラウンですが、治療を受けるとなると気になるのは値段です。
素材を一口にいっても種類は複数あるので、違いを理解してから値段に納得することが大切です。
値段の傾向は材質と加工の難しさなど、実際に発生するコストが反映されます。
差し歯などは口に入れるものですから、不純物を含まない純度の高さや、アレルギーを引き起こしにくい反応性のなさが求められます。
歯科資材としては安全性の確認や承認も不可欠なので、平均的なコストが高めに出てしまうのはやむを得ないでしょう。
しかし、それでも比較検討を行うことで、安さや品質を重視して選べるようになります。
差し歯やクラウンでお馴染みセラミックの値段
選択肢は豊富でそれぞれ特徴が違いますから、目的と予算に合わせて選択することが可能です。
ジルコニアセラミック
外側がオールセラミックス、内側がジルコニアでできているクラウンは、同種類の中で美しさが抜きん出ています。
また強度的にも優れていて、長期的な耐久性に期待できる点も魅力だといえます。
素材はしなやかなのに、ダイヤモンド並みの強度があることから、削る歯の面積は最小限で済みます。
奥歯のクラウンにも使用可能なので、適用範囲の広さもメリットだと考えられます。
肝心の値段は1本あたり10万円から20万円で、インレーなら約5万円前後が相場です。
他のタイプに比べるとやや高額ですが、信頼できて安心して愛用可能となる選択肢です。
メタルセラミック
メタルボンドとも呼ばれるメタルセラミックは、内側に金属を焼き付けて作られています。
透明度が低下するので審美性は少し落ちますが、日常的には問題なく使えます。
強度が高い割りにはコスト的に優れているので、経済負担が少ない点がメリットです。
一方のデメリットは変色で、銀とニッケルクロムが多く使用されている場合に、黒ずむリスクが発生します。
稀に金属アレルギーが起こるケースもありますから、差し歯にしても注意して検討することが肝心です。
値段は1本8万円から15万円といったところで、インレーの方は適用がないです。
二ケイ酸リチウムガラスセラミック
二ケイ酸リチウムガラスセラミックは、2009年頃に登場した新世代の材質です。
耐久性が高く加工性にも優れますが、適度な柔らかさも有しているので、見た目も感覚も自然そのものです。
自らの歯を傷めにくい利点もあるので、歯を強く噛む傾向がある人に向いています。
具体的には力仕事を始めとして、スポーツ選手や歯ぎしりに悩む人にも最適です。
プラークの付着はあまり心配ありませんが、本来の歯の色が前面に出てしまう傾向はあります。
更に着色の自由が限られますし、経年劣化が発生するので、長く美しさを保ち続けるのは若干難しいです。
値段は6万円から10万円が相場で、勿論これは1本あたりの金額です。
インレーなら4万円から5万円ですから、他のタイプと比べてお得感が際立ちます。
コスト面では明らかに優位なので、少なからず欠点があるとしても、選択肢に加えるだけの価値を持っています。
オールセラミック
文字通り内側も外側もオールセラミックの素材は、本物と変わらない透明感に加えて、金属アレルギーが発生しない利点も有します。
素材は陶器でできていますから、質感が良くてアレルギーの発症原因にもならないです。
しかも、着色性に優れ歯茎との馴染みやすさも良好と、まさに隙のない理想的な素材です。
デメリットはコストと強度で、使用できる箇所に制限があることなどです。
費用は1本8万円から15万円なので、極端に高額というわけではないです。
ただ陶器という素材の性質から、強く歯を噛む人には向かない結論に至ります。
奥歯には元々使えないので、ここは他の素材と使い分ける必要があるでしょう。
前歯なら差し歯でも適用範囲内ですが、衝撃などを受けて割れてしまうことはあります。
歯ぎしりで痛んでしまうことも珍しくないので、歯を強く噛んだり歯ぎしりする癖があるなら、マウスピースによる保護が必要となります。
インレーであれば3万円から5万円ですから、上手く選んだり使うことで、コストと良質な仕上がりを両立できます。
いずれも一長一短あり
いずれも一長一短のあるイメージで、クラウンといえども一筋縄ではいかないことが分かります。
ところが、差し歯やクラウンに使える素材は限られるので、絞り込みや比較検討は案外難しくないわけです。
前歯ならオールセラミックが最有力で、アレルギーの心配はなく仕上がりはごく自然です。
歯茎が変色しない利点もありますから、強度以外の要素では圧倒的に優位でしょう。
前歯であれば強度的に問題は起こりにくく、長期にわたって使えるのでコスト的にも優れます。
力が掛かる奥歯には適しませんが、それ以外の部分なら適用できる可能性は高めです。
何より口腔環境に馴染みやすく、本人が違和感を感じにくいのが見逃せないポイントです。
元々ある物とは違う材質を口に入れるので、違和感の生じなさは意外と重要性が高いです。
それなりに良い金額はしますが、仕上がりに納得できれば他にない満足感が得られます。